「日本語にも英語にも「to」「for」「with」のような「助詞」があります。英文法の本では、英文の「助詞」が「前置詞」と呼ばれていますが、「to」「for」「with」などは、「は」「が」「を」「に」「と」などのほぼ同じような機能を持っていますので、「助詞」と呼びましょう。
英語の助詞と日本語の助詞には、意味的にぴったり重ならないだけではなく、文法的にも違いは二つあります。
1)英語の助詞はそれがかかる単語の前に置かれます。この違いは厄介ですが、例外はありませんので、慣れればそう難しくありません。
2)より大きな問題は、和文においてそれぞれの語の役割は全て助詞によって示されているが、英文の場合、助詞のない単語もあり、これらは文中の順番によって役割が決まってきます。
(2)の例としてもっとも目につくのは、「は」「が」「を」に当たる英語の助詞がありません。どの言葉が主語とどの言葉が目的語が英語の順番によって示されます。
主語 動詞 目的語
I eat rice
このような簡単な文書なら、英文でも、どれが主語、どれが目的語を見分けることはそう難しくないです。
しかし、give(上げる・与える)、send(送る)、warn(警告する)、buy(買う)など、直接目的語(何かを)と間接目的語(誰か{のため}に)をとる動詞となると、文中の各語の役割がもう少し複雑になります。
上述したように日本語だと、どの言葉が間接目的語、どの言葉が直接目的語は助詞で分かり、順番があまり意味に影響しません。例えば
「女王は男にトラを与えました」 (主語 間接目的語+助詞 直接目的語+助詞 動詞)
というのと、
「女王はトラを男に与えました」 (主語 間接目的語+助詞 直接目的語+助詞 動詞)
とはほぼ同じ意味ですが、
英語の場合
「The queen gave a man a tiger(ペット?)」(主語 動詞 間接目的語 直接目的語)と
「The queen gave a tiger a man(餌!)」 (主語 動詞 間接目的語 直接目的語)とは
「lion」と「woman」には助詞がなく、その役割が文中の順番によって決まっていますから、lionとmanの順番を逆転すれば、文の意味が多きく異なっています!
さらに、英文において、間接・直接目的語の順番が逆転*可能*です。英文の中でも、間接目的語に助詞をつければ、順番を逆転できます。例えば、上の基本順番:
主語 動詞 間接目的語 直接目的語
The queen gave the man a tiger
において、manとlionの役割は順番によって決まって助詞が不要ですが、間接目的語と直接目的語の順番を逆にすれば、助詞が必要になります。
主語 動詞 直接目的語 助詞 間接目的語
The queen gave a tiger to a man
要約しますと、
1)間接目的語は動詞のそばに置く場合、助詞が不要です。
2)間接目的語を直接目的語の後に置けば、助詞が必要になります。
3)間接目的にどの助詞がつくかというと、「to」と「for」が多いですが、
「for」は「のために」のような意味を表すことが多いです。
She bought the hat for him.
「to」は物やコミュニケーションの空間的移動を示す「に」に近い意味を表します。
He sent the flowers to her. She gave the book to me. I read a book to my son.
「at」は目標を示すことあります。日本語の「に」で表します。
I pointed the gun at him. He aimed the missile at the tank.
「for」(稀・古語)目標
He steered the ship for shore.
英語の助詞についてののルールがそれほどありませんので、動詞を覚える度にがそれがどの助詞をとるかを、例文を使って一緒に覚えてみてください。