英語の疑問文の「do」は不思議なものですね。質問を訊くために、なぜ突然「do」を入れなければならないかと不思議がる学生が少なくありません。この動画で、"Do you eat sushi?"の中の"do"の由来を音声とともに説明しています。このビデオの高画質版は山口大学のEnglish Speakingという科目のオンライン教材として使用されています。
この音声教材、とても興味深く聞かせていただきました。Do の登場以外のほかの英語学習の項目もあるのでしょうか?ありましたら、アクセス方法を教えてください。
さて、Do(たぶん、 Does, Did も含めて)が、助動詞 Can との相似性によって、わかりやすく説明されていました。唯一、疑問点は、なぜ、強調肯定文を登場させなくてはいけないのか、という説明のプロセスの最初の段階の必然性です。
ほかの言語では、こうした Do Does, Did にあたるものが、どうもないようなので、学習者としては少し、気になりました。
他のものはまだ作っていません。作るつもりですが、時間がかかり過ぎますので、また作っていません。強調肯定文がなぜ登場するかなぁ。
学問的にはZilm, Rüdiger著の「The Development of Periphrastic do in English」をお薦めします。それによると、一時期は王朝関係者の英語には余計なdoを現在形の文章に入れることが流行した。
He doth spake of thee
この流行はdoの使役の利用から発生したという説明があります。つまりもともと
"He did him die"(現代英語では"He made him die," "He killed him")
が使われていて、使役や命令が上級者から下級者へ使われることが多かったために、第3人称は一種の敬語として、第1人称は自惚れであるか、使役・命令の意味を忘却し、I do greet thee (I greet you)など余計なdoが現在形に入ってきましたという説があるようです。
ですから、ある程度は現在形は昔doがよく使われたというのもあります。しかしよく使われたとは言ってもせいぜい10%見たいです。
続いて、Speak you English?(現代の英国英語では"Have you any fruit?"」という主語と動詞を逆転する疑問形が面倒だからかなくなっていくについれて、助動詞だけを逆転することになって、doが質問に使われました。
ということでは事実とは言いがたいですが、「昔の英語の現在形はI do eat fish」でして「do」が省略されたと、教えることができます。実際に、そう教えている英語教員がいます。
しかし、私なら、理屈から説明したいと思います。
英語の「現在形」は実は「現在」についてのではなく、過去未来についても言及するもので、「形容形」か「描写形」というのがより適切な名称だと思います。いわゆる「現在形」何かを描写するときに使うからです。例えば
I eat food.
I speak English.
I live in Yamaguchi.
I am English.
は全て自己形容というか、自分をただたに描写している発言です。この程度の描写は、「肯定する」「否定する」というほどのものではありません。ただ描写していると思います。
それに英語の「強調肯定形」は、本当に強調しているのか?私からみれば
I do speak English
はただの肯定形です。何かを(描写しているのではなくて)肯定しているときに使います。
I don't speak English
は否定的です。
そこで、
Do you speak English
などの質問は肯定か否定か選択するように求めていますので、
Yes, I do (speak English).肯定
No, I don't (speak English).否定
しかし
Do you speak English?に対して、Yes, I speak English.と答えるのは少し不自然に思います。肯定か否定かを選択しろと言われているときに、描写で答えるのは不自然だからです。実際、グーグル検索では
Do you speak English? Yes, I do..105ヒット
Do you speak English? Yes, I speak.. 15ヒット
です。
ということで、テンスの名前を下記のように変えると、
1)現在(肯定)形 Present tense⇒描写形 Descriptive tense
2)強調肯定形 emphatic⇒肯定形 affirmative
そして
3)否定形(negative)はそのまま否定形だと考えると、「はい」か「いいえ」を求めている疑問は、「はい」を意味する(2)か「いいえ」を意味する(3)かいずれかが答えになるのが自然で、疑問形が(2)と(3)から作られるのも当然かもしれません。
「英語が話せますか」という質問の答えは
Yes, I do speak English.
No, I don't speak English.
のいずれかを求めているのであれば、疑問形を作るのにはこれらの二つの助動詞と動詞を逆転することが適切であると思われます。
Don't you speak English?
Do you speak English?
一方、「描写形」を逆転して、Speak you English?は昔はあって、「Have you oranges?」は今でも通じますが、もしかしたらこの質問は、「あなた。。。という人ですか」という意味で、自己描写を訊いている質問になります。
Posted by: Timothy Takemoto at 2006年11月07日 13:39